【理系】イギリス大学院留学で修論Aを取った話【後編】
こんにちは~
今回は留学経験ゼロの私がロンドン大学院で修論Aをとった話の後編になります!
修論のBodyを構成するIntroductions~Discussionsは以前に前編・中編でカバーしました。
こちらを基本的に理解しておけば、まずはほぼMeritぐらいは行くのではないでしょうか。
今回はダメ押しで差をつけるこまごました箇所について説明したいと思います。
References
個人的にはBodyと同じくらい大事なんじゃないかなーって思います。
だって過去の研究や背景知識をもとにして今の自分の研究が成り立っているんですよね?
仮に、「今までに知見がない全く新しい研究を始めよう!」という場合も、社会問題など何かしら解決したい課題があるわけですし、何か研究を始めるにしても、手当たり次第に当てずっぽうでターゲットを決めるのではなくて、やはり関連した論文をもとにおおざっぱでも心当たりを絞っていくと思います。
ということは、その情報源たちの信頼性が怪しかったら自分の研究の正当性も疑わしいということになるのです。
大原則として、
「自分の意見・考察以外の全てに引用をつけろ」
です。
具体的には、
- 社会問題(政府機関などのデータ)
- これまでの知見
- 実験手法、統計手法
- 自分の実験結果をサポートする(または相反する)研究
- 今後の研究で取り入れたほうがよさそうな実験例
などなど
「この実験がこうなったことから・・・と考えられる」といった自分の考察以外の記述は全て他人からインスパイアされたものなので、勝手にあたかも自分の考えのように語ったらPassどころか落第になってしまうのでそういう意味でも注意しましょう。
ちなみに、私個人としては、参考文献の数は修論の評価につながると考えています。
同じ実験をしていても、過去の実験をもとに筋道立てて目標、計画を設定し、自分の結果と照らし合わせながら考察している根拠にあふれた論文とそうでない論文、どちらが高評価かは一目瞭然ですよね。
ちなみに参考文献の管理ソフトはRefWorksが使いやすくて個人的にはおすすめです。
その他気を付けること
指定フォーマットを守る
フォント、文字の大きさ、行間、ページ番号、フッター、ヘッダーなどなど、大学のHPやコースのハンドブックに書いてあるはずなので必ず守りましょう。
フォーマットを守れていないと大幅な減点になるかは不明ですが、守るに越したことないです。私がExaminerだったら、論文のフォーマットがでたらめだったら読む気失くしますもん。。。
製本
紙に印刷したハードと、データのソフト、二つの形式で提出を求められることがほとんどです。
図書館にDIYで製本できるキットがあったりするのですが、私は90ページくらいあったので、家で自分で印刷したのち、お店でやってもらいました。
ハードバインディングでなければそんなに高くないし、学割がきくお店もあります。
私の時は2冊で大体£10くらいだったかな?
Walk-inで持ち込んで、10分くらいでバインドしてくれます。
バインドするとこんな感じ
製本すると一気に論文に愛着湧きますよね~!
修論はいつ頃書き始めるか
私は提出日の半年くらい前から、Introductions~Methodsを書き始めていました
IntroとDiscussionsが一番重いので、実験が終わっていなくても書くことのできる前者から先に片付けました。
思い返すと、Introductionsに一番の時間と労力を費やしていました。
Introductionsは基本的に一番初めに読む部分ですし、最初がしっかりしていると、Examinerの印象もかなりよくなるはず。
Discussionは提出のかなりギリギリまでやっていましたね。
大体、
- Introductions 2ヶ月
- Methods 1ヶ月
- Results 1ヶ月
- Discussions 2ヶ月
- References+その他 1~2週間くらい(Discussionsと並行しながら)
くらいの時間配分でした。
さらに、各セクションを書き終わるごとに指導教官に添削してもらって書き直し、また提出して・・・の繰り返しをひたすらして、さらに全セクション書き終わったら論文丸ごと添削してもらっていたので、実質的な執筆期間は上記よりずっと長いです。
本当、書き始めるのは早いに越したことはありません。
これでももっと早めにやっておけばよかった~と思っています。
年末のクリスマス休暇の暇な時期にちょこちょこできているとかなり理想的ですね。
意外と研究成果は関係ない
博士論文はまた別の話ですが、卒論・修論では論文としての論理・構成・考察が筋道立っているか、という観点で評価されます。
そりゃあいいデータが出た方が嬉しいし、モチベーションも上がりますが、そうじゃなかったからといって気に病む必要はありません。
なぜ上手くいかなかったのかを冷静に分析して、次にどうつなげるかを考えられれば必ずポジティブに評価してくれます。
そもそも、院から新しく入学して、しかも実験期間が実質1年もなければ、成果は出なくて当たり前、出たら超ラッキーくらいのレベルです。特にバイオ分野は。
昔大学の先輩が「卒論は参加賞、修論は努力賞」と言っていて、本当にその通りだなと思います。
もちろん研究を頑張るのは素晴らしいことですが、博士でもなければそこまで切羽詰まって思いつめるまで頑張りすぎる必要はないのかなって個人的には思います。
自分の研究がうまくいかないのであれば、それはある意味研究室や指導教官の責任なのです。
Examinerが評価するのは、日頃の研究態度ではなく、あくまで提出された修論なので、私はどう研究を上手くこなすかよりも、高評価を得られる論文をいかにして書くかにリソースを割いていました。
まとめ
以上長々とまとめましたが、このようなことを気を付けた結果、実験で大した成果を得られなかったにも関わらず73点のAを取ることができました。
皆さんの論文執筆のヒントになれば幸いです。
<論文シリーズはこちらから>
<その他大学院生活はこちらから>